結論:歯科医院のAI電話が元を取れる受電件数の目安
結論から言うと、歯科医院のAI電話一次受付は、自院の受電件数次第で十分に元が取れます。損益分岐点を分けるのは「月額に含まれるコール数を超えるか」と「いまその電話対応に受付スタッフをどれだけ割いているか」の2点です。この2点さえ押さえれば、月額3万円という表示価格に惑わされず、自院の費用対効果を数字で試算できます。
この記事では、院長や経営層へAI電話の導入を数字で説明できるよう、損益分岐点を出す手順を3ステップに分けて解説します。ステップ1で自院の月間受電件数を把握し、ステップ2で実支払い総額を試算し、ステップ3で有人電話代行や受付スタッフ増員と比べた損益分岐点を導きます。なお本記事の金額は、歯科医院の商談報告書(モデルケース)と公開情報をもとにした一例・目安であり、実際の見積もりは件数や契約内容によって変わります。

前提:AI電話の料金は3つの要素でできている
費用対効果を正しく計算するには、まず料金がどの要素で構成されているかを押さえる必要があります。歯科医院向けのAI電話一次受付サービスは、おおむね「初期費用」「月額利用料」「超過分の従量課金」の3つで成り立っています。

AI電話一次受付とは何か
AI電話一次受付とは、医院にかかってきた電話をAIが最初に受け、用件を聞き取って記録・転送・通知まで自動で行う仕組みです。話中や無応答のときの転送、診療時間に合わせた自動切替、全件の一次受付、用件別の転送、通話の文字起こしと音声再生、メール通知、営業電話の切り分け、要件記録の院内共有といった機能で、受付スタッフが電話に張り付かなくても取りこぼしを防ぎます。あくまで一次受付が役割なので、複雑な相談は担当者へ転送し、人とAIで役割を分担する形になります。
料金を構成する初期費用・月額・超過従量
歯科医院のヒアリング事例では、スタンダードプランは初期費用5万円・月額3万円で、AIコール300件/月までが料金に含まれています。300件を超えた分は1コール100円の従量課金です。これに加えて、AIが受けた電話を担当者へつなぐ転送電話代が1分10円ほどかかります。料金は「初期費用+月額(300コール込み)+超過従量+転送電話代」という積み上げで決まると考えると、自院の総額を見積もりやすくなります。なお、ウェブ予約のURLをSMSで案内する場合は1通約15円の従量課金が別途かかりますが、これは予約連携の付随機能であり、費用対効果の中心は一次受付そのものです。
ステップ1:自院の月間受電件数を把握する
費用対効果を試算する出発点は、自院が月に何件の電話を受けているかを知ることです。表示価格の月額3万円が高いか安いかは、受電件数が決まって初めて判断できます。

1日の着信件数から月間件数を出す
最も簡単なのは「1日の平均着信件数 × 月の診療日数」で概算する方法です。たとえば1日25件で月22日診療なら、月間約550件となります。レセコンの予約件数や、受付スタッフが体感している「電話が鳴りやまない時間帯」も合わせて見ると、実態に近い件数がつかめます。
歯科医院の受電件数は月300〜1,000件が目安
歯科医院のヒアリング事例では、受電件数におおよそ3つの層がありました。常駐の受付を置かないA歯科は月約300件、受付が常駐1〜2名のB歯科は月約600件、そして受付専業スタッフが3名いるA歯科医院は1日50件以上、月換算で約1,000件以上を受けていました。注目すべきは、A歯科医院では受付が3名いてもなお対応が追いついていなかった点です。受電件数が多いほどスタッフの工数を圧迫し、AI電話の費用対効果が高まることを示しています。
ステップ2:受電件数別に実支払い総額をシミュレーションする
自院の月間受電件数がわかったら、実際に支払う月額の総額を試算します。月300件・600件・1,000件の3層で、スタンダードプラン(初期5万円・月額3万円・300コール込み・超過1コール100円)を当てはめてみます。
月300件・600件・1,000件の試算
下表は、歯科医院の事例をもとにした実支払い総額のモデルケースです。いずれも一例・目安であり、転送電話の通話時間や用件の内訳によって実額は変動します。
月間受電件数 | 月額(基本+超過) | 補足 |
|---|---|---|
約300件(A歯科の規模) | 月額3万円に収まる | 月額の300コール内に収まり追加課金なし |
約600件(B歯科の規模) | 月6〜7万円の見積もり | 超過300件分の従量+転送電話代を合算した実見積もり |
約1,000件超(A歯科医院の規模) | 数万円台後半〜が目安 | 超過700件分の従量が増え、転送量も増加。件数が多いほど人手の代替効果も大きい |
600件のB歯科で月6〜7万円という見積もりは、超過した300件分の追加コールと転送電話代を合わせた実際の数字です。300件以内に収まる規模なら月額3万円で済み、件数が増えるほど従量で積み上がる構造がわかります。
表示価格だけで判断しない
ここで注意したいのは、「月額3万円」という表示価格だけで導入可否を決めないことです。受電件数が300件を大きく超える医院では、超過従量と転送電話代が積み上がり、実支払い総額は表示価格の2倍以上になることもあります。逆に、件数が少なければ月額内に収まり割安です。費用対効果は表示価格ではなく、自院の件数を当てはめた実支払い総額で判断してください。
ステップ3:AI電話・有人電話代行・受付スタッフ増員の3択で損益分岐点を出す
実支払い総額がわかったら、最後に「ほかの選択肢と比べて得か」を確かめます。電話対応の負荷を解消する手段は、AI電話のほかに有人電話代行と受付スタッフ増員があります。この3択を並べると、損益分岐点が見えてきます。

3択のコストを並べて比較する
下表は3つの選択肢のコスト構造を、歯科医院の事例と公開情報をもとに並べたものです。金額はいずれも一例・目安です。
選択肢 | 初期費用 | 月額・ランニング | 特徴 |
|---|---|---|---|
AI電話一次受付 | 5万円程度 | 月3万円〜(件数で増減) | 全件を一次受付。深夜・診療時間外も取りこぼさない |
有人電話代行 | 30万円程度 | 月20万円超の従量 | 人が対応するが高額。受電件数が多いと膨らむ |
受付スタッフ増員 | 採用費42万円/人 | 給与+教育コスト | 採用・育成の負担と離職リスクが残る |
A医療法人では有人電話代行の見積もりを取りましたが、初期費用30万円・月額20万円超の従量課金で「これなら普通に人を雇える」コストになり、導入を断念しています。受付スタッフの増員も、1人あたり採用費が約42万円かかり、さらに研修期間の人件費や離職リスクが上乗せされます。この3択の中で、AI電話は初期5万円・月3万円〜と固定費が最も軽く、損益分岐点に最も早く到達しやすい選択肢です。
採用費とあふれ呼の機会損失を損益分岐に含める
損益分岐点を正しく出すには、目に見えにくいコストも費用に含めることが重要です。1つは採用・教育費用の回避効果で、受付を1人増やせば採用費42万円に加えて研修期間の給与がかかり、離職されればその投資は回収できません。もう1つは「あふれ呼」の機会損失です。電話がつながらず予約に至らなかった新規患者は、そのまま他院へ流れます。AI電話で全件を一次受付できれば、この取りこぼしを防げます。これらを織り込むと、人件費の単純な差額計算よりも損益分岐点は手前に来ます。
月額契約と年間契約はどちらを選ぶべきか
費用対効果を高めるには契約形態の選び方も関わります。ヒアリング事例のプランには月額契約と年間契約の2種類があり、年間契約のほうが割安に設定されています。一方で月額契約は当月末での解約が可能なので、まずは月額契約で自院の受電件数と超過の実績を1〜2か月見てから、件数が安定したところで割安な年間契約へ切り替える、という進め方が無理のない判断です。導入時期によっては初月の基本料金が無料になるキャンペーンもあるため、試算と並行して最新の条件を確認しておくとよいでしょう。
歯科医院のAI電話 費用対効果に関するよくある質問
Q. 受電件数が何件からAI電話は元が取れますか。 A. 一概には言えませんが、目安は「月額に含まれる300コールに収まる規模」か「すでに電話対応に受付スタッフを割いている規模」です。採用費42万円やあふれ呼の機会損失まで含めると、損益分岐点は人件費の単純比較より手前に来ます。
Q. 有人電話代行とAI電話ではどちらが安いですか。 A. 歯科の事例では、電話代行は初期30万円・月額20万円超で「人を雇えるレベル」と断念しています。受電件数が多いほど代行の従量は膨らむため、固定費の軽いAI電話のほうが費用対効果は出やすい傾向です。
Q. 超過コールの従量課金で費用が膨らむのが不安です。 A. まず自院の月間受電件数を把握し、300件を超える分を1コール100円で試算してください。月額契約なら当月末で解約できるため、実績を見てから本格導入を判断できます。
Q. AI電話で予約まで完結できますか。 A. 主役は電話の一次受付です。用件の聞き取り・記録・転送・院内共有が中心で、必要に応じてウェブ予約URLをSMSで案内する(1通約15円)といった予約連携も補助的に使えます。
まとめ:自院の受電件数で損益分岐点を試算しよう
歯科医院のAI電話の費用対効果は、表示価格ではなく自院の受電件数で決まります。本記事の3ステップ、すなわち「受電件数の把握」「実支払い総額の試算」「3択での損益分岐点の比較」をたどれば、月3万円のAI電話が元を取れるかどうかを数字で判断できます。月300件なら月額内、600件なら月6〜7万円、1,000件超なら従量が増えるという目安と、採用費42万円やあふれ呼の機会損失を加味した損益分岐点を院長への提案資料に落とし込んでみてください。自院の件数での正確な見積もりは、無料相談で受電件数を共有すれば試算できます。
